生きることは、だから美しい

「見たことのない明日へ」

ごめんね、だけど好きなんだ。

パンドラの箱を開けてから、早いものでもう1ヶ月が経った。

 

 

2018年3月26日 

 

私は新横浜の地に降り立っていた。

Travis Japanの単独公演。

ある意味で彼らにとって再スタートとなるその日は、新しい担当とこれからのヲタク生活を歩んでいくことを決めた、言わば私にとっても再スタートとなる日だった。

・・・違う。再スタートの日にしたかった、のだ。Jr祭りの合同公演ではなく、横浜アリーナTravis Japanの単独公演から新しい一歩を踏み出したかった。新しい担当と、これからの一歩を。

 

秋が過ぎ、どこの現場にも行かずに過ごした空白の期間を経て、半年ぶりに「担当」のために化粧をした。この日のために選んだ服に身を包み、部屋のドアを開けた。

 

 

―あれから約半年。

まだ半年か。今でもあの夏とあの千穐楽を思い出すと涙が止まらなくなるほど彼が大好きである。Travis Japanに彼の姿を探しては、いない現実を何度も突きつけられた。担当として歩んだ期間はわずか1ヶ月半だったのになんでこんなに好きになってしまったんだろう。

考えることは山ほどあった。一度は他に新しい担当を決めたものの、その決断がさらに私を悩ませた。半ば強引だったのかもしれない。何かで繋ぎとめておかなければ自分が自分でなくなってしまうような気がしていた。答えのでない質問を、何度も自分自身に投げかけた。いつでもどこでも寝られるはずの私が眠れない夜を過ごしたこともあった。

夏が終わり、良くも悪くもトラジャを取り巻く環境は目まぐるしく変わっていった。このチャンスが、あと1年早く彼らの前に現れたとしたら違う今があったのだろうか。考えれば考えるほどシャボン玉のように儚く消えていく。だけど。肝心な彼らは強かった。ただただ、まっすぐに前だけを見て歩いていた。環境こそ変わったものの、彼らの根本は変わっていなかった。ような気がした。それがまた、あの千穐楽で時間が止まったまま前に進めずにいる私にとっては辛いことではあるけれど、彼らの目に映る未来を、一緒に歩いていきたい。故に、単独公演はどうしても自分の目で見届けたいものであった。

 

12:00。

暗転と共に響き渡る割れんばかりの歓声。

 

夢のハリウッドから始まるステージ。7人の夢ハリを初めて見た。私がひたすらに避けてきたそのパフォーマンスを、彼らは一番最初に披露した。聞きなれたパートが違う声になっていた。何度探しても彼の姿はなかった。いるはずの場所にシルエットを重ねた。彼がいなくても成立してしまうそのパフォーマンスは悔しいほどに圧巻だった。それは「5人+2人」ではなく、「7人」のステージだった。モニターいっぱいに映し出された「新しい担当」のとびきり嬉しそうな笑顔が頭から離れない。それが、私の心をさらに苦しくさせた。確実に、好きなはずなのに、中途半端な気持ちでごめんね。

間違いなく目の前にTravis Japanがいて、間違いなく目の前で歌って踊っているはずなのに、頭の中では全て彼がいるパフォーマンスに変換されていた。

 

彼が歌っていたパートの大部分はかつてのシンメへと引き継がれていた。誰が歌うんだろう、ってそれが気がかりで。なんとなく、うみちゃんだったら嬉しいなあって思っていたらやっぱり。期待を裏切らないでくれてありがとう。俺がやるって言ってくれたのかな。あれもこれも、俺がやるよって。それともメンバーが、カイトにしかできないって、カイトだったらファンの方も納得してくれるからって背中を押してくれたのかな。どちらにしても温かい。super novaが、青いイナズマが、TJ Callingが、中村海人の世界だった。ありがとう、かつてのシンメ。

 

 

選曲はいちいち苦しかった。イントロが流れる度に胸が締め付けらた。

人生はこれから 前向いていこうぜ

あの頃 僕が見てた 君はどんな色だっけな

思い出し 色づく ほんの少し泣きたくなった

無限に感じてた時間に作り上げた

たくさんの君のかけら

ちょっと怖くて 取り出せなくって

指折り数えてる I'll wait for you

振り返れば君がそばにいてくれた

あの日々があったから今の僕がいる

もういいかい?まだだよ 目指すあの場所まで

今全てが始まる I'll wait for you

Goodbye
癒えない悲しみ 光注ぐ空に誓うよ
輝く場所へと引き連れるよ
Lead on go go go

PICK IT UP バラバラなピース集めて
繋げる 君のその想いは必ず
偽りのない世界 新たに見つけ出す
希望を今 PICK IT UP

 

たぶん私が考えすぎなだけだろうけど、メッセージ性が強かった。特にコレオグラファーのコーナー。私に言われてるような気がして、これが彼らの気持ちなのかなって思ったりなんかして。だからこそAirのときモニターに映し出された「これからもずっと一緒に・・・ from Travis Japan」その演出を選んでくれた彼らの心遣いがたまらなく嬉しかった。

 

頂いた3つ目の新曲もバッチバチのダンス曲だった。本編の一番最後に披露した曲だというのに、一切の疲れを見せずに歌って踊りきった。この子たちにはこれがある。ダンスは最強の武器。身体ひとつ、彼らが踊った場所がステージになる。まだ私がファンになる前「(今あるジュニアのグループの中で)デビューから一番遠い」と言われていた少年たちは着実にステップアップして横浜アリーナ15000人の客席を埋めた。シンデレラストーリーと言うよりはサクセスストーリーと言った方が彼ららしいけど、そのストーリーはまだまだ始まったばかりで、ここから先のシナリオのない物語が楽しみでならない。

 

歌詞に「1幕」と「2幕」という言葉を使ってくれた夢ハリの2番は、嘗てそこに確実に存在していた4人を「忘れなくていいよ」と言っているように思えた。その後、更新されたとらまるでのえるくんが紡いでくれた言葉がきっと彼らの本当の想いなんだろうな。彼らは4人を忘れていないし、思い出を大切にしてくれている。だからこそ前に進んでいる。嬉しいとか、そんな言葉じゃ言い表せられないけど、心の中で絡まっていたものが解けていくような、そんな気がした。

 

執拗いヲタクだからこれから何年経っても、私にとって最初で最後のPLAYZONEを、トラジャを知った最初で最後の7人の夏を、儚くも一瞬で消えたあの夏を、思い出しては泣いて、どうしても忘れることはできなくて、タイムスリップができるのであれば確実にそこに戻りたいと思ってしまう。いなくなるってずるいよね。思い出が更新されないまま記憶が更に美化されて、好きの気持ちだけが募っていってしまう。

だけど、これからのTravis Japanの歴史の中で、きっと「あの夏」を超えるパフォーマンスを何度も魅せてくれるだろう。その時々の「最高」を彼らは惜しまず私たちに魅せてくれると思うんだ。過去に縛られたファンでごめんね。なかなか成仏できなくてごめんね。中途半端な気持ちには変わりないし否定もできないけど、2幕を歩み出した7人をこれからもずっと見ていきたい。これはほんと。ドリームステージに立ち続けるTravis Japanの姿を。ずっと、ずっと、ずっと見ていたい。

 

自分自身に投げかけた答えの出ない質問。答えはきっと、とっくに出てた。きっと、分かっていたけど分からないふりをしていただけなんだ。何回考えても答えは同じだね、

 

 

Travis Japanが大好きです。

 

 

だからお願い。

もう誰も、誰もいなくならないでね。